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草原の民に思いを馳せる―「契丹展」見学 [講師出講]

昨日5/9(水)、シニアCITYカレッジ・アドバンスコース(NPO法人シニア自然大学校主催)の美術講座にて、「草原の王朝 契丹展」のレクチャーと見学をしてきました。受講者は、いつもながら意欲的なシニア世代の方々約40名です。

契丹(きったん)とはあまり馴染みのない言葉だと思いますが、今から約千年前、現在のモンゴル草原を中心に強大な帝国を築いた遊牧民族(及びその国名)のこと。マルコ・ポーロの『東方見聞録』には「カタイ」と記され、英語のCathay(キャセイ)やロシア語のКитай(キタイ)など中国大陸を表わす言葉として、現代に伝わっています。韓国の大河ドラマにもしばしば登場します。(千秋太后など)

その契丹族の最盛期である10~11世紀の文物が一堂にそろっているのが今回の展覧会。貴族の墓や寺院跡から出土した豪華な品々が往時の繁栄を物語ります。かつて契丹国(遼)のあった地域は、今はほとんど草原に戻っているだけに、その落差がまた想像力をかきたてる点でもあり、栄枯盛衰の不思議を感じさせる所以でもあり…。

美術好き、歴史好きの多い受講者の皆さんのこと、あまり馴染みのないテーマだけに、ひとおおりのレクチャーを受けた後の自由鑑賞ではいっそう親しみが増したようで、互いに感想を語り合ったりしながら、めいめいのペースで味わっておられました。

美術の鑑賞は、見る楽しみが大きな部分を占めますが、「見る楽しみ」を増幅させるのが「知る楽しみ」です。知れば、より楽しく、面白く、味わい深くなります。一般に、美術について「知る」(知識をもつ)ことは、あたかも自由に「見る」楽しみを妨げるかのように考えられている節もありますが、これはむしろ逆で、「知ればますます面白くなる」のが美術です。実際、講座受講者の中には、旅先などで美術館に行っても、(作品の主題や背景について知らないので)よくわからなかった、もっと勉強していけばよかった、そうすればもっと楽しめたのに…という経験を話される方が少なくありません。似たような経験をもつ方は、意外と多いのではないでしょうか。

アートが内包する豊饒な世界を、一人でも多くの方に発見・体感していただければ、と願いながら毎年、この講師を務めさせていただいています。深謝。

[アート]契丹展公式サイト
6/10(日)まで大阪市立美術館で開催中[ひらめき]

小村みち
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